「(無題)」 性欲は罪だと思っていた。 神は何ゆえ斯様にこっけいな欲情を人間に与えたのか。 女は愚かで下劣で汚らわしい。子孫をなす以外にいかなる用途があるだろう。 これは女だ。 埃にまみれ、丸みのない貧弱な身体。 無気力な態度は苛立たしいほど。 知性も教養も感じられない、卑しい素性の、ただの女だ。 なのに。 俺は一目で心を奪われた。 「キサラ」 名を呼ぶだけでこみ上げてくる感情。 なんという屈辱。 「キサラ、俺は」 情けを請うているのは俺のほうだ。 長いまつげの下から、美しい青い眼が姿を現す。 物憂げに、困惑したように。まっすぐ、俺を映し出す。 「お前を抱きたい」 |
2006年1月1日うp